めまいのために、仕事も無くし、横になるしかない日々から解放されて(田中さん 看護師 38才)
田中さんがめまいに襲われたのは1月。
田中さんのめまいは少し変わっていた。
気のような物がぐるぐる腰骨あたりで回転しているように感じるのだ。
それにつれて、からだも独楽が回るように回転しているように感じる。
人から見ると決して回転しているわけではないが、 田中さんは、自分が独楽になったような感じになる。
だから、足を踏ん張っていないと独楽が倒れるように自分が倒れるのではないかという感じになる。
立っている時は足に力を入れて踏ん張る。
めまいの回転に合わしたように歯がカタカタ鳴る。
鳴る音は、緊張すればするほど大きく鳴る。
頭の締め付け感や、耳の閉そく感なども時々出てくる。
病院に入院もして治療を受けたがよくならなかった。
自律神経の薬を処方されて飲んでいるが一向に良くなる兆しはない。
これからどう生きていけばいいのか途方に暮れる毎日だった。
もちろん仕事もやめざるを得なかった。
仕事以上に大事にしているライフワークのほうも休まざるを得なかった。
立っていることがつらいので、どうしても横になってしまう自分がふがいなく感じられて涙が頬を伝う。
ではどうしたらいいのか分からない。
もちろん鍼灸院にも行った。
すこしはよくなる感じはしたが、しかし改善しなかった。
見かねて、兄嫁からたつみ鍼灸院を紹介された。
(鍼灸院なら行ったけれど)という思いがあったが、「ほかの鍼灸院とちょっと違うから、良くなると思うよ。だめもとで行ってみたら」という言葉に押され、予約を入れる。
めまいを発症して3か月たっている。
果たして自分のこんなめまいが治るのか不安いっぱいだった。
初めての予約当日は体調は最悪だった。
花粉症は出ているし、生理も近づいている。
そして相変わらず、めまいのために足を踏ん張ってないと立っておれない。
しかし、ベッドに横になり、いろいろ話を聞いてもらい、脈を診てもらい、体をいろいろ調べたりしてもらうと少し落ち着いてきた。
はりを打つのに、こんなにいろいろ調べられるとは思わなかった。
はりを打った後も脈などを調べられ、ちゃんと鍼が効いているのかを調べられる。
さっきは押えられると痛かったお腹の痛みが消えている。
不思議としか言えない。
足や手のゆびの圧痛も消えている。
次回の予約日までに何かが変わるかもしれないと淡い希望が出てきた。
予想通り、腰のところの渦が少し小さくなっている。
治りそうという希望が少し出てきた。
3回の治療で、渦がもう少し小さくなり、自分の回転感も少し小さくなった。
1か月半後には、日によっていい日と悪い日があるものの、ぐるぐる回る勢いが弱くなってきた。
はり治療を始める前は、台風の渦の中に取り込まれた感じだった。
今はその渦が小さくなっている。
2か月後、めまいが静かになってきた。
もうちょっとで治りそうと思える。
するとこれからどうして生きていこうかと現実のことが不安になってくる。
今までは、めまいが治ることだけを願って生きてきたが、仕事のこととかが気になりだしてきた。
やめた仕事に復帰できるのか?
この仕事は好きだが、無茶苦茶ハードであった。
12月の忙しさは半端ではなかった。
勢い帰宅時間も遅かった。
そこへもってきてライフワークにしている仕事のほうも忙しかった。
ハードな日々を過ごしていたことによって恐ろしいめまいが出てきたのだろうと思っている。
生活のために働かなければならない。
ライフワークのほうも頑張りたい。
できるのか?不安だった。
しかし、この不安はめまいの症状が収まってきたことによって生じてきたことなので、ある意味うれしいことだった。
めまいがひどくほとんど寝て過ごしていた時には仕事のことなんか考えられなかった。
その後鍼治療を受けるたびにめまいの回る速度はゆるくなってきた。
もう少しすれば回転は止まりそうだ。
勿論右肩上がりに良くなったのではない。
時には変化が感じられない時があった。
しかし、治療を重ねるごとに、確実に良くなっていることが実感できた。
体はずいぶん楽になった。
元の体に戻りつつある。
歯がカタカタなるのもほとんどなくなった。
いつも感じていた気の渦も感じない。
体馴らしのためにタイミーで見つけた仕事にも行けた。
休んでいたライフワークのほうも言ってきてくださったので受けることにした。
治らなくて不安に押しつぶされようになっていたあの時、兄嫁に勧められて行ってなかったら今の自分はないと思っている。
生活のためには、正社員になって働きたいと思っている。
ライフワークのほうもこのまま頑張るつもりだ。
