この薬が最後です。これ以上の強い薬はありませんの言葉で脱ステを決意した。(梅川さん パート 53才)
梅川さんのアトピー歴は長い。。
こどもの時からである。
しかし、アトピーの執拗なかゆみに悩まされるようになったのは最近のことである。
こどもの時は、処方されたアトピーの塗り薬を塗れば痒みが止まっていた。
その程度のかゆみで済んでいた。
ところが、7年前から、足首に耐え難い痒みが出るようになってきた。
掻いても掻いても痒くてしょうがない。
耐え難い痒みで眠れない
仕方なく飲み薬を処方してもらった。
「飲み薬は使わない」が梅川さんのアトピー対策の砦であったが耐え難い痒みにはいとも簡単に破れてしまった。
2年間ぐらいは痒みは出たり、治まったりして、この飲み薬で何とかしのげていた。
しかし、最初の薬では収まらなくなっていく。
徐々に強い薬に変わっていくのにそれほど時は要さなかった。
そして、医者から「この薬は1番強い薬です。」と言われた時、(ついに恐れていた時がやってきた)と思った。
「もうこれ以上強い薬はないです。」と言われたらどうしようと思っていたことが現実になってしまったのだ。
この強い薬を飲み続けて効かなくなった時が恐ろしい。
対処する方法を探さなければ…気持ちが焦るがいったいどうすればいいのか皆目わからない。
本屋でアトピーについての本を探して読みまくる。
食事の重要性が書かれている。
まずそこからやってみる。
しかし、泥縄でやっても効果は一向に見えてこない。
本を読んでステロイドをやめる決心をする。
リバウンドがどのように出てくるのか怖かった。
やはり出てきた。
顔がパンパンに腫れあがった。
腕もパンパンである。
体のあちこちが痒くてかゆくて仕方がない。
頭が痒い。首が痒い。手が痒い。足の脛が痒い。・・・手の指からは浸出液が出てくる。
頭がカサカサしてくる。
(ここで負けたらあかん)と自分に言い聞かすが負けそうになる。
(ここで薬を使ったらどうなる。)
(今以上のかゆみに襲われることは必至。)
(そうしたらどうするねん。)
(今でも耐えられへんねんから、今以上のかゆみが出たら耐えられへん。)
(今痒くても我慢するしかないねんなあ)
自分に無理やり言い聞かす毎日。
しかしもう痒みの限度を超えている日々に疲れ果てて、薬に手が伸びそうになる。
食事の最中にむちゃくちゃな痒みに襲われたり、職場に行っても痒みが続く。
(もう無理)と心が叫ぶ。
こんなに苦しい思いをしなければならないアトピー体質を恨む。
(なんでこんな苦しい思いをしなければならないんや)
しかしどれほど恨んでも現実は1ミリも変わらない。
(このままでは自滅するしかない。)
(すこしでも痒みから解放されたい。)
(そんな方法あるわけないやろ)
(しかし、何かの助けなしではもうだめ)
(探さないで最初から決めつけたらあかんのと違う?)
(ないと思うけどなあ)
(でも、痒い、痒い、痒い。我慢できないほど痒い。どうしたらいいの?)
(探してみよう。探してみるしかない。)
(たつみ鍼灸院で脱ステ?)
(本当に脱ステができるの? 信じられない。)
(でもほかに何がある?)
(薬はもう後がないのが現実)
(本当に良くなったら儲けものぐらいの気持ちで1回受けてみてもいいのじゃない)
梅川さんは鍼灸治療を受けてみることにした。
鍼灸治療を始める
1回の鍼灸治療ではあまりよくなった実感がなかった。
しかし、2回目の治療で、確かにかゆみが少し変わってきた。
顔の腫れがましになった。しかし、まだ痒みがある。
3回目では、かゆみが少しマシになったのを実感できた。
顔の腫れが引いた。
肌のカサカサもましだ。
その後の治療でアトピーのかゆみは少しずつ引いていった。
決して右肩上がりに良くなったわけではない。
良くなったり少し戻ったりしたりということはあった。
戻った時は(本当に治るの?)という弱い心がむくむくと湧き上がってくる。
(ここまで来たんだからあと少し。大丈夫)無理にも思うようにする。
アトピーに苦しんでいた時に書いていた日記を読み返す。
むちゃくちゃ苦しんでいた時のことがよみがえる。
人間て苦しいことは忘れるようになっていることに気が付く。
だからつらい時、苦しい時その時ちゃんと書き残して置くことが大事なんだ。
あの時のことを思えば今は天国。
少しぐらい戻っても、また良くなることが信じられる。
なぜ戻ったのかを考えることも大事。
やっぱり、戻るには戻るだけの理由があった。
ストレスがかかったり、アトピーに悪いものを口にしたりしている。行きつ戻りつしながら鍼灸でよくなった。
あれほど悩んでアトピーのかゆみから解放される日が来るなんて信じられなかったが鍼灸治療は確かに効いた。
今は、最後まであきらめなかった自分をほめてやりたい。
あきらめなかったから、アトピーから卒業できたことがうれしい。
病院で処方してもらった1番強い薬は捨ててしまった。
もう必要ないから。
仕事を続けさせてもらったことも有難く思っている。
アトピーが1番ひどい状態の時、直接お客様と接しなくてもいいように配置換えをしてもらった。
感謝以外の名に何物でもない。
